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安藤忠雄: |
昨日テレビで子どもたちに投資の勉強をさせているという番組を見ました。小学校か中学校で。 |
| 山崎拓: |
お金をコンピューターやインターネットを使って投資するのですか? そりゃいかんな(笑)。 |
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安藤忠雄: |
そう、そんなことをやっていていいのかなと思いましてね。アメリカでは盛んなんですが、日本でやるのとは違って、自分たちの地に着いた経済学の上での投資だと思うんです。日本では地に着いたところがいつもない。アメリカがやっているからと言ってコンピューター上でそれをまねしたところで地に着いたものにはならん。今、私が考えている大阪の街の開発に1万円でも投資するというなら、自分たちの街がみるみる良くなっていく手ごたえがあって、街づくりに心が参加していく、地に足の着いたものになると思うんですよ。今の日本人は心に元気がない。世界中から独創性がないだの、個性がないだの叩かれているが、確かにそういう面もありますが、意外と良い面もいっぱいあるんですよね。僕はあの阪神淡路大震災の時、震災復興委員会実行委員長として、いろいろ間近に感じてきたのですが、あの時の復旧・復興のスピードを見たら、んなに忍耐力や協調心をもった民族は世界にはないと。一部に個性的で創造性をもった者がいれば、全体に民度の高い日本人は充分世界で戦えると思うんですが、個性がないだの政治が悪いだの言われたとたんに下を向いているでしょ?そんなものではないと思うんですが、それを言い返す人がいない。マスコミも否定的なばかりでシュンとしている。政治家がそうでもないんだ、いい所もいっぱいあるんだ、と言ってやらないと今はもう日本中皆下向いてばかりいる。それともうひとつ、「文化人」と呼ばれる人たちに、実世界に対する問題意識が薄い。「文化人」は身を持って社会に対して提言することがなくて、ただ単に評論するだけになっている。僕は建築の設計をしているから、そこから環境について自分ができることは何なのかということで提案し、自ら参加している。自分の得意分野・専門分野でやるから、こいつの言っていることはおもしろい、乗ってやろうと思う人が出てくるんだと思います。 |
| 山崎拓: |
日本の経済がまいっていることの原因・対策についても100の評論がありますが、どれひとつあたらないですね(笑)。評論というのは意見もすぐ変えられますし、同じ評論家が1年前とまったく逆のことを言ったりもしてますがね。やっぱり実行することが一番大事じゃないですかね。評論家じゃなくて実行家がもっと多くなるといいですね。 |
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安藤忠雄: |
そうですね、今の日本は評論家ばっかりで動いていくから、われわれ一般市民はいっぱい評論がある中でどれを信じればいいのかわからなくなる。 |
| 山崎拓: |
官邸の中にも評論家がいっぱい入り込んでいるけども、大丈夫かな?と私も思っているわけですよ(笑)。 |
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安藤忠雄: |
昨日、友人の東大の経済学者に会ったら、経済学者の自分が言うのもなんだけど評論家ばかりいて困ると言ってました(笑)。やっぱり身を持って頑張るというところがないと、しょせん評論家にすぎない。われわれ国民は右往左往しています。 |
| 山崎拓: |
実業じゃなくて虚業なんですね。やっぱり実業家が活動しないと国の活力、発展の原動力が生まれてこない。たとえばさっきの子どもにマネーゲームを教えている話、あれは実業じゃないですよ。 |
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安藤忠雄: |
そのことの大変さをあんまり誰も言わないからどんどん進んでいくわけですね。アメリカも実は、虚構の社会ができあがって地盤がはっきりしていないんだと思うんです。 |
| 山崎拓: |
この前のエンロンの問題なんかもそうですね。僕はエンロンというのは実体があるものだと思っていましたよ。日本にもかなり進出してきましたよね。九州なんかにも発電所をつくるみたいなこと言ってね、実体があるのかと思ったら相当な虚構でしたね。潰れてみると、あっという間に消えてなくなりましたからね。 |
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安藤忠雄: |
あっという間になくなった時に、巨大な本社ビルができてるんですからね。アメリカ型の経済主導型社会ではなくて、日本型の社会のあり方というものを考えていかないと、日本人の資質と合わないと思うんです。 |
| 山崎拓: |
マネーゲームがはびこって、本来日本が得意とする生産基盤が海外に行ってしまう。これは非常に危険なことだと思いますね。環境やITといったものはサービスを生産するからいいのですが、お金を動かすだけで儲かるっていうのはどうかと思いますね。日本はアメリカのまねをするところがありますから、アメリカが一時的に非常に成功を収めたからといって、日本も生産基盤を外に出してマネーゲームばかりやるようになったとすると、日本の将来は危ないという気がしますね。 |
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安藤忠雄: |
ものすごく危ない。それもすごく近い時期にじゃないですか? |
| 山崎拓: |
近いかもしれません。 |