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二〇世紀は日本にとって輝かしい世紀であった
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| 今は一番悪いと言われたイタリアをついに追い抜いて
次に、財政の破綻ですが、これが当面最大の問題でして、経済成長の鈍化と財政の破綻とは非常に密接な関係にある。 今は、経済が成長しない、発展しない。いわば不景気ですね。不景気を直すために、景気回復のために、どんどん財政を支出して、例えば公共事業をやったり、いろいろなことをやっていくという、私は逆療法と言っているんですが、そういうやり方をやっています。それは何だか良いように、正しいように皆さん考えているけれども、実際は財政状況が悪くなることが経済成長の阻害要因になるということですね。今、そういう主張は認められていないが、今度、政権が変わるとすれば、我々はその主張を持っているので、財政再建に乗り出すということになります。財政に頼って公共事業をどんどんやっていけば、一時的には景気は良くなるようですが、将来には大きなツケを抱えて、景気はかえって悪くなるということを申し上げておきたいと思います。 現在既に財政の赤字はGDPの七%に達し、また、国債発行残高は三六四兆円、補正予算で二兆円積みましたので三六六兆円、それは五〇〇兆のGDPから言うと七割を超すという金額になっています。地方も地方債を出しますし、あるいはまた、そのほか特殊法人の債券も出す。そういったものを入れますと、六四五兆円という膨大な国全体の借金がある。六四五兆円は、五〇〇兆のGDPからすると三割増しです。さらに、国全体の貸借、国が持っている財産と借金ですね。負債との関係から言うと、債務超過、債務のほうが七七八兆円も多いという数字が、このほど、大蔵省から発表されました。膨大な国の債務超過がある。国の財産を全部売っても、なお借金が七七八兆円も残るのが今の現状です。これは世界の中で、少なくとも先進国の中では一番悪い財政状態です。かつては日本の財政は非常にいいと言われましたが、今は一番悪いと言われたイタリアをついに追い抜いてしまって、世界で一番の財政のポジションが悪い国になりつつあるわけです。したがって、日本は、国際国家日本と言われるように、国際社会で非常に重要な位置を占めているわけで、日本に対する国際的な要請は日本の景気をよくしてくれという強いものです。バブル経済が弾けてから、一九九〇年代の一〇年間、日本経済はずっと落ち込んでいて、何とか早く立て直せという話がずっとあった。そういう国際的な注文が日本に来るわけですが、二十一世紀に入ると、おそらく日本に対する国際的な注文は、財政を立て直してくれ、日本の財政が悪いと国際社会が迷惑するということが言われるようになると思います。 日本は世界の国々から尊敬を集めるような風格ある国家ではなくなってしまう それから、社会規範の乱れ、これは、教育現場の崩壊とか少年犯罪の多発、それから公衆道徳の乱れとか、社会全体が個人主義の弊害が非常に強くなってきて、社会全体のことを考える傾向が非常に薄くなってきているということが明確に言えると思います。そこをどうするかが問題です。このまま行きますと、日本は世界の国々から尊敬を集めるような風格ある国家ではなくなってしまう。そういった点が我が国の衰亡の徴候です。 かつて一九八五年ごろ、私が訪米したときに、そのころは日本の国が一番経済的に繁栄した時代なんですが、ワシントンでアメリカの政治や行政にかかわっている若い人や、日本からの留学生が集まったところで、なぜ日本がこんなに繁栄するのかが話題になったことがあります。そのときに、日本という国はアイデンティティのある国だと言われました。アイデンティティは難しい英語なので、正確な訳語はないけれども、帰属性という訳し方がある。あるいは同一性という訳し方もあるが、要するに国民がまとまる力ですね。求心力と言ってもいいが、そういうものがアイデンティティだと思います。日本の国には天皇制があるし、象徴天皇のもとで一億一言語・一民族・一国家ということで、非常にまとまりのいい国である。国家が国民の家族意識、同一性意識によって、まとまって国の発展を図っている。そのことが成果を上げているとよく言われました。 日本の国民こそ、技術革新の魂を持っている 私はそのとき、中曾根内閣の官房副長官の仕事をしておって、当時の中曾根総理に随行して行ったわけです。そのときに、キャピトリーヒューマンといって、アメリカの議会に行って、上院議会が集まった中で当時の中曾根総理が演説したわけです。その演説で中曾根総理がどう言ったかというと、当時はアメリカは最低の時期でした。政治経済の状態が非常に悪い時期だったが、一体アメリカの国民はどうなったんだということを、今の日本では到底言えないようなことを言った。自分は学生時代にアメリカの偉大さを自分の先生から教わったんだけど、その先生がおっしゃったのは、アメリカには三つのスピリットがあると。それは何かというと、一つはフロンティア・スピリット、開拓者精神ですね。それからピューリタニズム、清教徒主義、それからもう一つはイノベーション・スピリット、技術革新のスピリットですね。この三つの非常にすぐれた精神がアメリカの国民精神としてあるので、必ずアメリカは世界の大国になるだろうということを東大の学生時代にゼミの教授から教わったと、中曾根当時の総理はアメリカの上院議員に向かって話して、現下のアメリカを見るに、その三つの精神は一体どこに行ったんだということを言いました。今から考えますと、中曾根さん自身も当時だから言えたなと、今ならとっても言えないなという感慨を抱いておられると思いますが、日本はものすごく好調な時代でして、アメリカは非常に低迷した時期だったので、そういうことを言えたわけですが、アメリカにフロンティア・スピリットはあるのか、一体どこにどう出ていこうとしているのかということを言われました。それから、アメリカの社会が犯罪のちまたになってしまっているが、一体ピューリタニズムはどこに行ったのか、とも言われましたし、日本の技術は年々歳々発展して、日本の経済力はアメリカの経済力を圧倒するようになってきたが、それはアメリカのイノベーション・スピリットがなくなったからだ、日本の国民こそ、技術革新の魂を持っているということを言われたわけです。 |
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科学技術の分野で日本が世界をリードしているとは到底言えない
実に四〇年間にわたって続いた自社対立を乗り越えて、一つの政権を
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硬直したままの状態では、新しい国家目標は出てこない
講演後質疑応答より 【問い】さきの長野知事選挙での無党派の田中康夫氏の当選に象徴されるように、有権者の政党に対する期待が薄れつつあることは否めません。いわゆる政党不要論に対する正当性と問題点について山崎さんはどうお考えでしょうか。
【問い】山崎さんは、国を守る権利と義務、環境を守る権利と義務についておっしゃられておりました。権利と義務について、自由民主主義的には具体的にはどの程度までが義務であり、そして権利なのかを、山崎さんご自身としてはどのようにお考えなのか、お聞かせください。
【問い】各報道機関の調査によれば、森内閣の支持率はこぞって一〇%台を記録するなど、危機的状況に陥っています。森首相が有権者の信頼を獲得していくためには、そしてリーダーシップを回復するには、教育改革の推進などのほかに、どのような要素が要求されるとお考えでしょうか。
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